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江藤拓 日常活動報告

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種苗法案説明(定例記者会見)

今朝は、持ち回りで閣議が開かれました。

定例記者会見では、種苗法改正法案、日英貿易交渉、農家向け持続化補助金の必要性についてお答えしました。

特に、種苗法改正法案について、多くのご意見を頂いている事から、国会審議入りが決まっている訳ではなく、今後の国会日程について予断を持った発言は避ける旨冒頭で申し上げた上で、本法案は、私が繰り返し申し上げてきている生産基盤の強化、農業所得の向上に資するものであることを改めて詳しく説明させて頂きました。

少し長くなりますが、このブログをお読み頂いている皆さまにも、記者会見で申し上げたポイントをご紹介させて頂きます。

まず、自家増殖(収穫物の一部を次期作付け用に種苗として使用する事)が原則禁止になる、許諾料を支払って許諾を得るのはおかしい等のご意見についてです。

実は、市場に流通している品種のほとんどが「一般品種」であり、コメは84%、みかんが98%、りんごが96%がこれに当たります。これらは、改正法案でも何も変わりません。これらについても制限が厳しくなるようなイメージの報道がありますが、これは違います。

今回の法案で、育成者権者(新たに植物品種を育成し、国に登録した者)の許諾が必要としているのは「登録品種」です。

私の宮崎では佐賀のイチゴであり、登録品種の「さがほのか」を作っていますが、佐賀に許諾料を払っています。許諾料は「宮崎県バイオテクノロジー種苗増殖センター」が一括して支払っており、農家の皆さまの負担はありませんし、そもそも優良高付加価値なものを他県で作る場合、許諾料を支払う事は普通ではないでしょうか。

その許諾料も、法改正後にたくさん支払わなければならないとは想定しておりません。例えば、日本の農家の皆さまへの優秀な種苗の供給を目的とする国の農研機構が仮に法律改正された場合、許諾料を上げるようなことはまずあり得ません。

また、実例をご紹介すると、ある県のイネの場合、10a当たり種苗代1,600円のうち許諾料2円56銭、B県のブドウの場合、1本当たり4,000円のうち許諾料60円です。さらに、「登録品種」は、一定期間(果樹、茶等、何年間にもわたって植換えの必要性のないものの場合、30年)経過後、「一般品種」になります。

次に、種苗の海外流出防止についてです。
一昨年、韓国・平昌オリンピックで、カーリングの女子選手の皆さんが食べていたイチゴが、実は日本から種苗が流出し、韓国で生産されたものだった事が分かりました。

そもそも今回の種苗法の改正案の始まりはこのことからです。

国会でも随分と議論になりました。シャインマスカットの種苗が中国に流出したという事例もあります。日本は、76か国が加盟するUPOV(ユポフ:植物の新品種の保護に関する国際条約)に加盟しており、中国、韓国も加盟しておりますが、現行法では「登録品種」のUPOV加盟国への合法であり、海外流出を止められません。海外流出を阻止し、日本から輸出できていれば農家にはその利益が還元されていたはずです。山形のサクランボ「紅秀峰」の種苗がオーストラリアに流出し、日本に輸入されたという事例もありました。新型コロナウィルスの影響で多くの皆さんが苦しんでおられる中、こういうことがあってはならない、という意を強くしております。

今国会では、「家畜伝染病予防法一部改正法案」、「家畜改良増殖法一部改正法案」、「家畜遺伝資源不正競争防止法」の3法について、いずれも全会一致で可決・成立させて頂きました。法制度論として、非常に難易度の高いものでしたが、与野党を問わず国会議員には先人が築いた和牛遺伝資源という日本の強みを何としても守らなければならないという強い意思をお示し頂いたものであり、画期的な事でした。ご賛同頂いた議員をはじめ関係者の皆様には大変感謝しているところです。
 
種苗法改正法案は、和牛に続いて、今度は植物について、育成者権者の意思に応じて登録品種の海外流出の防止等ができるようにするとともに、育成者権を活用しやすくするための措置を講じる事をお願いしたい、というものです。

大切な権利・財産を守る為、国会でしっかりとご議論いただいた上で、できる限り早期の審議、成立をお願いしていく考えであり、今後もしっかりと説明を尽くしていく考えであります。

記者会見の後は、省内で幾つかの打合せを行った後、衆議院本会議に出席致しました。

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by taku-eto | 2020-05-19 21:39
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